(3)その他の調査地

図-9には首都圏と阪神地区を除いたその他の調査地の2016年の種構成を、図-10には7年継続調査ができた調査地の経年変化を示した。

ログハウス「あかげら」周辺の経年変化は調査している5サイトのうち環境や種構成が類似ている4サイトの合計で示した。


粟島公園(新潟県五泉市)は2629個中3個のニイニイゼミ、1個のツクツクボウシを除いて残りはアブラゼミであった。

アブラゼミの年毎に変動は毎年増減を繰り返しているように見える。

特に2012年2014年は極端に数が少なく、2013年に非常に多いという特徴的なパターンを示した。

このパターンが例えば2017年からの3年間に現れるとすると、産卵から孵化まで約1年、幼虫期間が4年で5年後に同じパターンが現れるということになる。

今までのパターンからすると多い年の4年毎に多い年、少ない年の4年後に少ない年が来るとも考えられたため、実際に2017年の抜け殻数がどうなるのか結果か楽しみである。

岡之郷緑地公園(群馬県藤岡市)ではニイニイゼミ、ツクツクボウシの比率が高くミンミンゼミも少数採取できている。

7年間の変動パターンはアブラゼミ、増減を繰り返していたが、粟島公園が奇数年に多いのに対し、岡之郷緑地公園は逆に偶数年に多い。

ニイニイゼミは2012年をピークに年々減少してきている。

ニイニイゼミは産卵の年の秋に孵化し、4年間幼虫時代を過ごすと言われていて、2012年の4年後にあたる2016年は多くなることを期待したが過去最低の数であった。

図-9 調査地別セミの種構成 (首都圏・阪神地区以外: 2016年 アブラゼミ比率の高い順)

図-10 7年間継続調査ができた調査地・サイトの経年変化(首都圏・阪神地区以外)

アカデミー富士(静岡県裾野市)では抜け殻90個中、アブラゼミが63個70%でニイニイゼミが2個2%、ミンミンゼミが11個12%、ヒグラシが14個17%であった。ヒグラシは2015年1個に減少して心配したが、2016年は復活した。2015年にヒグラシが減少した原因は不明である。

青森公立大学は1993年に青森市郊外の森に囲まれた場所で開学している。

駐車場の緑地地帯は周辺の森からは独立して整備されたものと思われる。

2015年のデータは示していないが、2016年は2015年に比べアブラゼミが半減、ニイニイゼミが倍増となった。

駿河台自然公園はニイニイゼミの構成比が高い調査地である。

2012年は全国的にニイニイゼミが多い傾向が見られ、駿河台自然公園でも2010年に次いで2012年にニイニイゼミの抜け殻が多かった。

その後2年間減少し2014年が底となり、増加に転じていて、2012年以降ニイニイゼミが減少し続けている岡之郷緑地公園とは異なるパターンを示した。

ニイニイゼミは産卵した年の秋に孵化、4年間の幼虫期間と言われている。

ニイニイゼミ多かった年の4年後に再び羽化数の多くなることが期待される。

しかしながら、抜け殻数の多かった2010年の4年後の2014年はニイニイゼミが少なかった。

山梨県北杜市「ログハウスあかげら」周辺は別荘地で、アカマツ、コナラなどの雑木林である。

調査を始めた2009年頃は雑木林の中ではヒグラシとエゾゼミ以外はほとんど採取されなかったが、毎年のように部分的な森林の伐採が行われ、陽が当たるようになるとアブラゼミの抜け殻が増える傾向が見られている。

ニイニイゼミは別荘地の林から出た集落の桜並木であるEサイトで多く採取されていたる。

EサイトとAからDサイトでは環境が大きく異なるため、AからDサイトのみ合計して7年間の経痔変化をグラフにした。

ヒグラシ、エゾゼミの構成比は大きな変化はないが、2014年以降抜け殻数が減っており、雑木林の伐採の影響を受けている可能性がある。